幸せって何?
人が生きるのに条件って必要? 生きてるだけじゃダメですか?
あらすじ
理恵子はごく平凡な30歳のOL。ところが外国暮らしが長い姉との会話の中で、ひょんなことから、自分の人生についての疑問が生まれる。そこから恵理子の幸せ探しが始まる。
本文
私は理恵子。今年の2月2日で30歳、独身。父、母、姉、兄の5人家族。まあ、よくある、ごくごく普通の家庭かな。私は実家暮らし。お姉ちゃんは結婚して出て行ったし、お兄ちゃんは世界を放浪中。バックパッカーで、ホステルとか泊まり歩いてるみたい。あ、私は大企業までとはいかないながらも、そこそこの会社で働いてます。最近は不景気でなかなか就職大変だし、正社員で雇ってもらってほんと良かったなって。残業は多いけど、周りの人もそうだし、不満は言ってられないよね。やっぱりお母さんの言うこと聞いて、人並みに大学行って就職して良かった。まあ今までの人生、多少、っていうか結構我慢はしてきたけど、将来食べていくのに経済的な基盤は大事だなって最近つくづく思うかも。とくに、テレビでネットカフェで暮らす人達の特集なんて見ちゃうと心底そう思う。
周りの人の評価では、私って真面目すぎるぐらい真面目らしい。そしてお人よしってよく言われる。自分ではそんな風には感じないけど、心配性ってのはあるかも。空気も結構読めるほうだとは思う。
そんなこんなで、一応毎日ごくごく普通の生活してるんだけど、最近お姉ちゃんと話してるといろんな事言われて、自分の人生について結構考えることが多くなったかも。まあ人生っていっても、自分で言うのもなんだけど、私って結構保守派で普通に生活できればそれでいいって感じなんだけど、、。
ちなみに私のお姉ちゃん、現在フィンランド在住です。国際結婚して旦那さんはフィンランド人。お姉ちゃん一年に1,2回はこっちに帰ってくるんだけど、やっぱヨーロッパって日本とは考え方が違うのか、ちょっと変わってるっていうか、うん、やっぱ変わってるかも。向こうでは年に1っか月以上有給休暇があって、みんなが休みをとるみたい。お姉ちゃんは結構自分勝手っていうか、本人曰くヨーロッパじゃ普通らしいけど、むしろ向こうじゃ自己主張しなきゃ何もできないし、空気読むとかないからって。しかもこの前話してた時なんて、"自分で言わないで、相手に察してもらおうなんて、控えめな感じだけど、実はかなり傲慢だよね。しかも察しない人がいたら陰口とかおかしい。" なんて言ってたし。まあ気が知れた家族の前だからで、普段はそんなこと言わないけど。お姉ちゃん、昔はむしろ周りの人の目気にする感じだったけど、歳とったのもあるのか、結構変わったかも、、。
実は私最近すごい疲れてるっぽくて、自分でも確かに常に疲れてるなーとは感じてるんだけど、家族からもやつれてるとかって言われて、少し気にはしてたんだけど、特に生活とかは変えてなかった。ある時お姉ちゃんが一時帰国してた時に、私ずっと夜中の12時に仕事から帰ってて、そしたら突然私に「命と会社どっちが大切?」って本くれた。私は知らなかったんだけど、この本、実は結構話題になってたんだ。もらった時は本の題名みて、ちょっと "はっ?" ってなったけど、結構面白そうだし読んでみたら、びっくりした。"私って命と会社天秤にかけてたの?"って、最近たまにブラック起業とかニュースとかで見るけど、ほとんどスルーしてた。確かに最近ツイッターとかフェイスブックとか、ニュースの世界でこういうの問題視されてるみたいだけど、実際問題、自分の会社に問題あるとか、自分がその立場にいるとか、考えるの無理っていうか、面倒っていうか。やっぱ世の中が変わってくれないと、私がどうにか出来ることじゃないっていうか、、、。でも、命ってなると、やっぱちょっと考えるかも。今までそんなの考えたことなかったけど、ってなんでだろ。そもそも30年近く考えたことなかったっていうのも不思議というか。あ、っていっても赤ちゃんの時は考えないだろうから、うーん、仕事しだしてからかな。でも学生の時だって勉強とかやりたいわけじゃないのに、っていうかむしろやりたくない勉強とかでも夜中までやってたから、というかやらされてたから、やらされてる状況っていうのに関しては、社会人になってからと状況はそんなに変わってないような。んー、でもやっぱ学生の時はそこまで大変じゃなかったかな。っていっても、私ほんと命の危機なのかなー。周りのみんなも同じ状況だし、まさかみんなで死んじゃうとかありえないだろうし。一人だけ先に帰りますとかって言わなきゃなら、残って夜中まで残業した方がまだマシだしなー。お姉ちゃんにその事話すと、"洗脳だー"って言われた。今時日本で洗脳とかありえないしって思ったし、そんなのされてる覚えもないから、言い返したら、それも含めて洗脳だって。んー、納得いかないから、ネットでいろいろ調べたら、確かにそういう事もいっぱい書いてた。特にヨーロッパの人から見ると、この状況って異様っていうのはのってた。まーお姉ちゃんはヨーロッパに住んで結構たつし、旦那さんもヨーロッパ人だから、そういう考えになっちゃうのもわかんなくはないけど、洗脳とかって言われると結構抵抗ある。とは言え、"ほんとそうなの?"って結構気になっちゃってる自分もいるんだよなー。複雑。なんだか最近わかんない事増えてきた気が。入ってくる情報が増えるほどわかんなくなるって、なんか矛盾してる気が。普通は知ってること多いほどわかんない事減りそうだけど。知れば知るほど、疑問が出てくるってどういうことだろう。私って小さいころから結構我慢してきたっていうか、やっぱ自分が生きてるからには、これをしなきゃっていう条件みたいなのが常にあった気がするし、それが普通で、今はつらいけど将来のために頑張る、とか普通で、残業とかもその延長線上っていうか、そんな感じだけど。突き詰めて何のために頑張るのって考えると、んー、あんま考えたことなかったけど、将来のためかな、幸せのため?うん、やっぱ、将来の幸せのためかなー。でまたお姉ちゃんに話すと、"将来の幸せってどんなの?って。んー、またもや難題。私が真面目すぎなのかなー。そうやっていざ聞かれると、何だろー。結婚するとかかな。んー、でも結婚するために今我慢してるっていうのも違うかなー。美味しいご飯のためかなー。うーん、なんだか、それじゃあ戦争時代のことみたい。私納豆とか、お豆腐とか大好きだし、満足する食事代のために残業しなきゃいけない感じでもないかもなー。洋服かなー、んー、それも違うかも。今着てる服、中学校の時に着てた服だし、ズボンはお婆ちゃんのお下がりだし。靴とかバックもほとんどお下がりだしなー。今ってみんな断捨離はやってるから、洋服とかバックとか靴とか、普通にお下がりもらえるし、買ってもとてつもなくお買い得だしなー。みんなものが余ってるのかなー。あっ、そうだ、将来の幸せって何かってことだった。結構難しいかも、、、、。これは結構考えなきゃ結論でなさそう、、。
恵理子の"幸せ探し"はまだまだ続くようです。